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上田電鉄別所線 廃線の危機 (千曲川鉄橋の崩落)

2019年10月に東日本を襲った台風19号は、長野県内に豪雨をもたらした影響で千曲川が氾濫し、上田市内では地域の足のとなっているローカル線の上田電鉄別所線千曲川鉄橋にも牙をむきました。

甲武信岳付近を水源するつ千曲川は、ちょうど降水量が多くなった長野県佐久地方を北に向かって流れ、蛇行や川幅の伸縮が発生する上田市内では暴れ川のように勢いよく流れてしまい、堤防などの壁面を次々に押し流していきました。

ちょうど運が悪いことに、上田電鉄別所線の単線電化の線路軌道は、千曲川に架かる鉄橋がこの付近にあり、川の中の橋脚はしっかりと持ちこたえていたものの、橋の付け根の路盤が崩れたことによって大きなトラス橋が崩落してしまいました。

沿線の地域の住民の声によると、大きな音を出しながらトラス橋が崩落したことが報じされており、台風被害を象徴した映像として、赤いトラス橋が茶色い濁流の中に落ちているシーンが繰り返し流されるようになっていました。

これにより、当初は全線で運休となり、その後は下之郷駅別所温泉駅間の運転を再開して運休となる上田駅下之郷駅間はバスによる代行運転が行われています。

復旧には橋を修復または新規で付け替える必要があり、鉄道事業の収益を上がられなくなる運休期間も復旧への費用も莫大な負担となって地方ローカル線の経営にのしかかってしまいます。

近年では、地方ローカル線が自然災害によって被害を被ると、これを口実に鉄道よりも採算が確保されやすいバス転換等への方針が鉄道事業者から掲げられ、存続を希望する地域住民の意に反して廃線に向かって地元自治体も合意形成されていく傾向がありました。

もともと鉄道軌道整備法の規定によって、営業赤字が一定期間継続していても地域のために運行していた鉄道事業者には、大規模自然災害によって被災した復旧費用のうち、優遇処置として半分程度となる1/2~1/3の額を補助する仕組みがあり、
その後法改正によって黒字企業でも一定の条件下において復旧費用が補助される制度ができたところでした。

しかしながら、建設業界では素材や工費の高騰があり、安全基準の厳格化によって鉄道設備の費用は高額にもなっていて、この程度の補助があっても母数が大きいため復旧をあきらめて廃線になってしまっていました。

上田電鉄の経営会社となる上田交通は赤字であることが示されているので、制約に依存せず補助の対象にはなっていますが、高額な復旧費用を賄うには、鉄道軌道整備法以外からの補助を受けなければ鉄路の再興は難しい可能性も高くなっています。

上田電鉄別所線は、沿線に観光名所の温泉地となる別所温泉がり、信州上田の真田幸村伝説にもしなの鉄道と並んで上田電鉄鉄道路線としての役割を果たしているため、運休や廃線による地域経済への影響は大きいことからも、復旧はもちろんのこと早期の着手が求められることになります。

長野県の上田市周辺は地域産業の力によって一定の経済圏を形成しているものの、上田交通上田電鉄という会社は、合併等を経て現在存続している会社機構の歴史の中で、モータリゼーションが進んだ昭和中期~末期に相次いで鉄道路線廃線してきた経緯があります。

そのため台風19号による千曲川鉄橋の崩落は廃線の流れへのきっかけとなってしまう恐れがあり、路線が存続するために、国や周辺地自体の補助以外にも、南阿蘇鉄道只見線のようにクラウドファンディングふるさと納税によって社会全体で支える必要があるかもしれません。

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